令和4年度版 遺族年金ガイド 遺族年金とは 2/2

遺族年金

一家の働き手や年金を受け取っている方などが亡くなったら大変!

ご家族に給付される年金なんだよね?

遺族厚生年金と他の年金の調整

公的年金は一人1年金が原則ですが、遺族厚生年金の受給権者が65歳以上の場合は、ご自身の老齢基礎・老齢厚生年金、障害基礎年金または旧厚生年金保険・旧国民年金の老齢年金の一部または全部をあわせて受け取ることができます。

■老齢基礎・老齢厚生年金

老齢基礎年金と遺族厚生年金の一部または全部をあわせて受け取ることができます。

●老齢厚生年金の受給権がある場合

65歳以上で老齢厚生年金を受け取る権利がある方は、老齢厚生年金は全額支給となり、遺族厚生年金は老齢厚生年金に相当する額が支給停止されます。

複数の遺族厚生年金の支給を受けている方については、それぞれの年金額に応じて年金額が支給停止されます。

遺族厚生年金(受給)
老齢厚生年金遺族厚生年金
(支給停止)
老齢基礎年金※老齢厚生年金に相当する
額が支給停止されます。
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●平成19年4月1日時点で、すでに65歳以上で遺族厚生年金を受け取っていた場合

平成19年4月1日前に遺族厚生年金を受け取る権利があり、かつ、平成19年4月1日時点ですでに65歳以上の方(昭和17年4月1日以前の生まれの方)は、次の①から③のうち、いずれかの組み合わせを選択することになります。

ただし、③は、遺族厚生年金の受給権者が死亡した方の配偶者である場合に限ります。

老齢厚生年金老齢厚生年金遺族厚生年金の2/3老齢厚生年金の1/2
老齢基礎年金老齢基礎年金老齢基礎年金
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■障害基礎年金

障害基礎年金をあわせて受け取ることができます。

ただし、遺族厚生年金の受給権者が65歳未満の場合は、遺族厚生年金かご自身の障害基礎年金のどちらか一方しか受け取ることができません。

【65歳未満】

遺族厚生年金
どちらか一方
障害基礎年金

【65歳以上】

遺族厚生年金↑両方とも
障害基礎年金

*障害基礎年金をあわせて受け取る場合は、経過的寡婦加算額は支給停止されます。

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■旧厚生年金保険・旧国民年金の老齢年金

旧厚生年金保険の老齢年金(または通算老齢年金)の1/2をあわせて受け取ることができます。

遺族厚生年金旧厚生年金保険の
老齢年金の1/2

旧国民年金の老齢年金(または通算老齢年金)をあわせて受け取ることができます。

遺族厚生年金旧国民年金の
老齢年金

【ご注意ください】

老齢厚生年金または退職共済年金を受け取る権利がある方は、遺族厚生年金の額の計算や支給停止を行うため、老齢厚生年金または退職共済年金の請求手続きをする必要があります。

また、2つ以上の年金を受け取る権利ができたときは、年金事務所へいずれの年金を受け取るか選択の申出が必要となる場合があります。

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遺族年金の受給権の失権

遺族年金を受け取る権利がなくなった場合は、「遺族年金失権届」の届出が必要です。(死亡したときは「遺族年金失権届」の届出は不要ですが、「受給権者死亡届」の届出が必要な場合があります。)

遺族基礎年金

遺族基礎年金の受給権は、次のいずれかに該当したときに失権します。該当した日から14日以内に、年金事務所または街角の年金相談センターへ届出が必要です。

■子のある配偶者(亡くなった方の妻または夫)が受け取っている場合

(1)受給権者本人(亡くなった方の妻または夫)が次のいずれかに該当するとき

①死亡したとき

②婚姻したとき(内縁関係を含む)

③直系血族または直系姻族以外の方の養子となったとき

(2)遺族基礎年金の受給権を有しているすべての子が次のいずれかに該当したとき

①死亡したとき

②婚姻したとき(内縁関係を含む)

③受給権者(亡くなった方の妻または夫)以外の方の養子となったとき

④亡くなった方と離縁したとき

⑤受給権者(亡くなった方の妻または夫)と生計を同じくしなくなったとき

⑥18歳になった年度の3月31日に到達したとき(障害等級1級・2級に該当する障害の状態にあるときは20歳に到達したとき)

⑦18歳になった年度の3月31日後20歳未満で障害等級1級・2級の障害の状態に該当しなくなったとき

※上記⑥に該当した場合、「遺族年金失権届」の提出は不要です。

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■亡くなった方の子が受け取っている場合

受給権者本人(亡くなった方の子)が次のいずれかに該当するとき

①死亡したとき

②婚姻したとき(内縁関係を含む)

③直系血族または直系姻族以外の方の養子となったとき

④亡くなった方と離縁したとき

⑤18歳になった年度の3月31日に到達したとき(障害等級1級・2級に該当する障害の状態にあるときは20歳に到達したとき)

⑥18歳になった年度の3月31日後20歳未満で障害等級1級・2級の障害の状態に該当しなくなったとき

※上記⑤に該当した場合、「遺族年金失権届」の提出は不要です。

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遺族厚生年金

遺族厚生年金の受給権は、次のいずれかに該当したときに失権します。

該当した日から10日以内に、年金事務所または街角の年金相談センターへ届出が必要です。

■亡くなった方の妻または夫が受け取っている場合

受給権者本人(亡くなった方の妻または夫)が次のいずれかに該当するとき

①死亡したとき

②婚姻したとき(内縁関係を含む)

③直系血族または直系姻族以外の方の養子となったとき

④夫が亡くなったときに30歳未満の「子のない妻」が、遺族厚生年金を受け取る権利を得てから5年を経過したとき(夫が死亡したときに胎児であった子が生まれ、遺族基礎年金を受け取ることができるようになった場合を除く)

⑤遺族基礎年金・遺族厚生年金を受け取っていた妻が、30歳に到達する前に遺族基礎年金を受け取る権利がなくなり、その権利がなくなってから5年を経過したとき

※上記④⑤は、平成19年4月1日以降に夫が死亡した妻のみが遺族厚生年金を受け取ることとなった場合に限ります。

■亡くなった方の子または孫が受け取っている場合

受給権者本人(亡くなった方の子または孫)が次のいずれかに該当するとき

①死亡したとき

②婚姻したとき(内縁関係を含む)

③直系血族または直系姻族以外の方の養子となったとき

④亡くなった方と離縁したとき(子が受け取っている場合)

⑤離縁によって亡くなった方との親族関係が終了したとき(孫が受け取っている場合)

⑥18歳になった年度の3月31日に到達したとき(障害等級1級・2級に該当する障害の状態にあるときは20歳に到達したとき)

⑦18歳になった年度の3月31日後20歳未満で障害等級1級・2級の障害の状態に該当しなくなったとき

⑧亡くなった方の死亡当時、胎児であった子が生まれたとき(孫が受け取っている場合)

※上記⑥に該当した場合、「遺族年金失権届」の提出は不要です。

■亡くなった方の父母または祖父母が受け取っている場合

受給権者本人(亡くなった方の父母または祖父母)が次のいずれかに該当するとき

①死亡したとき

②婚姻したとき(内縁関係を含む)

③直系血族または直系姻族以外の方の養子となったとき

④亡くなった方と離縁したとき(父母が受け取っている場合)

⑤離縁によって亡くなった方との親族関係が終了したとき(祖父母が受け取っている場合)

⑥亡くなった方の死亡当時、胎児であった子が生まれたとき

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国民年金の独自給付

国民年金の独自給付として「寡婦年金」と「死亡一時金」があります。どちらも国民年金のみの給付制度で、厚生年金保険にはありません。

寡婦年金

寡婦年金は、死亡日の前日において、国民年金第1号被保険者(任意加入被保険者を含む)の保険料納付済期間と保険料免除期間が合わせて10年以上ある夫が死亡したときに、夫によって生計を維持され、かつ、夫との婚姻関係(事実婚を含む)が10年以上継続している妻が、60歳から65歳になるまで受け取ることができます。

※1国民年金第1号被保険者とは

国民年金には、日本国内に住む20歳以上60歳未満のすべての方が加入します。

会社員(厚生年金保険に加入)や公務員(共済組合に加入)とその被扶養配偶者を除く、自営業者や学生などの加入者を「国民年金第1号被保険者」といいます。

※2平成29年8月1日より前の死亡の場合、25年以上の期間が必要です。

■寡婦年金の金額

夫の死亡日前日までの第1号被保険者(任意加入被保険者を含む)期間から、老齢基礎年金の計算方法により算出した額の3/4になります。

第1号被保険者(任意加入被保険者を含む)期間

■寡婦年金の注意点

●以下に該当する方は請求できません。

・夫が老齢基礎年金または障害基礎年金を受け取ったことがある場合

※夫の死亡日が令和3年3月31日以前のときは、以下に該当する方となります。

 ・夫が老齢基礎年金を受け取ったことがある場合

 ・夫が障害基礎年金の受給権を有していた場合

・妻が繰上げ受給の老齢基礎年金を受け取っている場合

●妻が他の年金を受け取っている場合は、選択になります。

●寡婦年金と死亡一時金の両方を受け取ることができる場合は、どちらか一方を選択して受け取ることとなります。

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死亡一時金

死亡一時金は、死亡日の前日において、国民年金第1号被保険者(任意加入被保険者を含む)の保険料納付済期間※が36月(3年)以上ある方が死亡したときに遺族が受け取ることができます。

※1/4納付期間は1/4に相当する月数、半額納付期間は1/2に相当する月数、3/4納付期間は3/4に相当する月数となります。

■死亡一時金の額

● 36月以上180月未満………120,000円

●180月以上240月未満………145,000円

●240月以上300月未満………170,000円

●300月以上360月未満………220,000円

●360月以上420月未満………270,000円

●420月以上 …………………320,000円

死亡した月の前月までに付加保険料納付済期間が36月以上ある場合は、上記の金額に8,500円が加算されます。

■死亡一時金の注意点

●死亡一時金を受け取ることができる遺族は、死亡した方の配偶者、子、父母、孫、祖父母、兄弟姉妹の順番で、死亡したときに生計を同一にしていた方が対象になります。

●死亡した方が老齢基礎年金、障害基礎年金のいずれかを受け取っていたとき、または遺族基礎年金を受け取ることができる方がいる場合には、死亡一時金を受け取ることができません。

●死亡一時金は、死亡日の翌日から2年を経過した場合、請求することができなくなりますのでご注意ください。

寡婦年金および死亡一時金の請求手続き先は、お住まいの市(区)役所または町村役場です。

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遺族年金Q&A

生計維持とは

Q1

遺族基礎年金・遺族厚生年金を受け取るための条件の一つに、「死亡当時、死亡した方によって生計を維持されていた方」とありますが、具体的にどのような場合をいうのですか?

A1

「死亡した方によって生計を維持されていた方」には、死亡当時、死亡した方と生計を同一にしていた方(同居していること、または別居していても仕送りを受けていたり、健康保険の被扶養者である等の場合に認められます。)で、原則として、年収850万円未満の方が該当します。

ただし、死亡当時に年収850万円以上であっても、おおむね5年以内に年収が850万円未満となると認められる事由(退職または廃業など)がある方は、遺族年金を受け取ることができます。

将来の年金額

Q2

遺族年金の年金額は、将来も変わらないのでしょうか?

A2

遺族基礎年金、遺族厚生年金や寡婦年金の額は、物価や賃金などの変動に応じて、毎年度見直しが行われます。

児童扶養手当について

Q3

児童扶養手当を受給しているのですが、遺族年金をあわせて受給できますか?

A3

児童扶養手当の受給者の方やその配偶者が、公的年金制度から年金を受けるようになったり、年金額が改定された場合は、市区町村から支給されている児童扶養手当が支給停止または一部支給停止される可能性があります。

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遺族年金の請求手続き

遺族基礎年金・遺族厚生年金を受け取るためには、年金の請求手続きが必要です。

請求手続き先

●遺族基礎年金のみを請求する場合は、お住まいの市(区)役所または町村役場

●上記以外の場合は、お近くの年金事務所、街角の年金相談センターまたは共済組合等

なお、共済組合等の加入期間のある方についても、遺族厚生年金の請求は一度でできます。

添付書類

請求手続きには、戸籍謄本や死亡診断書等の添付書類が必要となります。

添付書類は、死亡原因や子の有無等により異なります。

■手続きの流れ

「年金請求書」を年金事務所や市(区)役所または町村役場に提出します。

●老齢基礎年金・老齢厚生年金、退職共済年金を受け取る権利がある方で、これらの年金が未請求のときは、あわせて請求します。

「年金証書」「年金決定通知書」「年金を受給される皆様へ(パンフレット)」が日本年金機構からご自宅に届きます。

●ご自宅に届くのは、年金請求書の提出から1カ月程度(加入状況の確認を要する場合は2カ月程度)※です。

※共済組合等から年金を受け取る権利のある方については、2カ月以上の期間を要する場合があります。

●パンフレットには、必要な届出などを記載しています。

年金証書がご自宅に届いてから約1~2カ月後に、年金の振り込みが始まります。

●年金請求時に指定された口座へ、偶数月に2カ月分振り込まれます。

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